善意で敷き詰められている

脈打つ大地の檜皮色/君の好きなグリーンでもっとハイになって

2023年12月2日のこと(横アリ公演前最後の特典会のあとパンダドラゴンを見に京都に行った話)

なんて身も蓋もないタイトル。

 

横アリ前の慰みにも、豊洲PITの販促にもいまいちなりきらないだろう、文字通り日記です。

「おもちゃばこ」ツアーセトリのネタバレを含みます。

 


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パンダドラゴンライブハウスツアー「おもちゃばこ」京都公演2部に行くかどうかは、チケットを取ってからも少し迷っていた。

横アリ6日前、東京ではMeseMoa.現体制最後の特典会を開催中、という、オタクとしてやるべきことには事欠かない日取りに、静岡→東京→京都→静岡、なんて現場回し(「回す」っていうか)をするのかどうか。

 


それでも結局、行くことを選んだのは、

単純にそういうのが楽しい性格とか

サマパラファイナルに行きそびれたことへの負い目とか

パラゴン現場でなくては会えない人が、軒並み集結していそうな気配とか

(結局自分のスケジュール繰りがシビアすぎて全然会えなかった。また会いましょうね)

昔京都に住んでいて、今静岡に根づいた自分が、静岡出身の推しが京都でライブをするのを見に行く、というシチュエーションに惹かれたこととか

今回チケ発が本当に激戦で、京都2部のチケットを手放すなんてとんでもない、という打算とか

激戦ゆえ静岡2部のチケットを12/4現在持っていなくて、京都に行かないと追加公演しか見る機会がなさそうだったこととか

オン特で、静岡のチケットを持っていないことに触れたら、「とりこさんにも見てほしい」と、さらっと言ってくれたこと、とか

そういうものの合わせ技一本だった。

 

 

 

……いやでも、これだけ意味を見出してるライブの天秤の片側に、あと数分取れるかどうか、の特典会が乗ることがすごい、という話な気もする。それだけつまり、今年の私は野崎弁当のオタクでした。

 

 

 

朝。気温から色からあらゆる面で着る服に迷いながら、ひとまず東京をめざす。乗った新幹線はめちゃくちゃに混んでいた。通路もデッキもぎゅうぎゅうになるくらい。

みんな旅に出る理由がある。素敵なことだと思う。最近情緒があれすぎて、すぐ人類愛にいってしまう。

 


いつもとは違う会場に、少し迷いながら着いて。

珍しく言いたいことをちゃんと用意して臨んだけど、手紙に落とすことはできてなくて、スマホのメモをチラ見しながら、でもできるだけ目を見て言って。

……この人の、不意を突かれたように、安心したように漏らす「あぁ、」が好きだなと思った。

多分、私の推し方と、あと当時時点の比較の(比較の)結果だと思うんだけど、友人に、野崎さんのことを「言葉でコミュニケーションを取れる推し」と言ってもらったことがあって。

ここ最近とみにそれを感じる。嬉しかった。言葉以外のものも含めて、伝わったな、届いたな、返してもらったな、そこに至る日々がちゃんとあったな、と思える時間だった。通信とは通じたと信じること。

泣く予定なんてなかったのに、帰り道幸せで泣いてしまった。私の接触短歌を思い出した。

きれいごとばかりの道へたどりつく私でいいと思ってしまう(笹井宏之)

そう思う。いつもいつも、透き通るみたいな気持ちになる。大好き。

 

 

 


分刻みで動かねばならないのに、浮ついた気持ちで歩いてるから、迷いまくって全然駅に行き着かなくて。

……こんなにめろめろの体で京都に行くんだから、人間って業が深いなと思った。

 

 

 

 

新幹線に乗って京都をめざす。

若い頃に住んでいた京都という街は、街も自然もあって、便利で過ごしやすく、多くの物語や随筆にあるように、厭世的で、気位が高くて、時の流れがゆっくりで、

その分、土地を離れた人には厳しい、というか、あっという間に、「私の街」ではなくなってしまう場所だった。

 

 

 

……パンダドラゴンの最近の活躍は、TLを追っているだけでも十分わかって。

「パLIFE!パLIKE!パLOUGH!パLOVE!」のヒット。それが「仕掛けてうまくいった」ものであること。ファンの、界隈の外の人の動画がどんどん上がるようになった今でも、自分たちで動画を上げる手を止めないところが好き。活動に比例して増えていく、リプライの数、フリーライブの後に上がる写真の観客の数、配信の同時視聴者数。

この1年、それらのなかの「1」に、なったりならなかったりした自分のこと。

 


もう私のものではなくなってしまった街に、もう私の推し、と呼ぶべきではないかもしれないグループを見に行くことには、意味がある気がした。

 

 

 

 


会場の最寄り駅についたときにはすっかり黄昏時で、

知った顔も知らない顔も全然わからないこと、は、どちらかというと救いだった。

半分より少し後ろくらい、と思っていた整番で入ったら、もう会場はぎゅうぎゅうで、わーこれ入るのかな、となりながら、アナウンスを受けてじりじり前に進む。

今回のツアーでは、「おもちゃばこ」を使った抽選を多用していること、今日の推しの衣装、セットリスト抽選結果のアルファベット、それぞれのブロックに含まれている曲、は、公式Xと、あと心優しい方々のネタバレで知っていた。

だから開始前時点で、個人的にだいぶ好きな衣装で、好きなセトリであることはわかっていた。

わかっていたつもり、だったのだけれど。

……実際に見て、曲を聴いて。今ここで、こんなに寄り添ってもらえるのか、ってびっくりした。

衣装もセットリストも、なんならMCの話題も、何もかもが、私みたいなものーー推しのいるグループの、現体制最後かつ史上最大規模の横アリ公演を控えながら、懐古気味にパラゴン緑推しをしているやつーーに優しいライブでした。

きっといろんな理由から、全曲フルで、ショート尺にしていなかったこと(多分)もとても好みだった。

 


ツアーが発表されたとき、「おもちゃばこ」と冠されたこの日々は、何のためにあるのだろう、とか考えていたことがあって。

いやまあ、「何のため」というと大げさなんだけど。パシフィコ横浜を目標に据えて、どんどん新しいお客さんを獲得している最中の、完売続出で追加公演を出すことになるライブハウスツアーは、パンダドラゴン史においてどういう位置づけになるのか。

実際に足を運んだら、あづくんの「最近やっていない曲も多くて、こんな曲あったんだ、って、また好きな曲が見つかるツアーだと思う」ってMCと、公式ちゃんの「結成当初から応援していただいてる方はもちろん最近知っていただいた方にも楽しんでいただける様なライブ」というポストで、なんだか都合よく腑に落ちてしまった。

 

 

 

おもちゃばこをひっくり返すと。

次から次へと楽しいものが出てきてワクワクする気持ちになるし。

昔よく遊んだおもちゃが、箱の底から転がり出てきて、懐かしいねこんなの持ってたね、よく遊んだな、大好きだったな、という気持ちにもなる。

後者の楽しみ方をゆるしてもらったんだと思いました。

MARCH衣装。惜しまないフルの愛情を示すことくらいできる。明日も明後日も。たとえステージにマイク置く日が来ようとも。時間は後戻りしない。学力テスト。醒めない夢だと信じてた二人は色褪せない。明日ハ晴レ、七色のアーチ。大切で大切でこれから続いてく未来を見てる。涙を拭いてまた会えるね。だれもが青春と呼ぶなら好きにさせてよ。

 

アイドルの卒業、というものに立ち会ったことがなかった私に、そういうことが起こりうること、それでもグループは進んでいく、ということを教えてくれたのは、パンダドラゴンでしたね。

 

 

 

抽選ブロックの引きの強さに感謝しつつ、でも自分が泣いたのは固定枠の「Hop Step xxx」だったこととか、実はあんまりピンときていなかった「Crack」が、生で聴いたらめちゃくちゃかっこよくてハマっちゃったこととか、

いくらでも書けるんだけど、これだけ切り出して書いておきますね。「Sweet Strange Parade」。

特典会で「SSP大好き。私のTLみんなSSPの話してて……」と言ったら、

「いやーわかるよ、とりこさんがああいう曲好きなのもわかるし、とりこさんやとりこさんのTLにいがちな皆さんが好きな曲は、ライブの定番曲にはならないことも俺はわかっている」と言われて笑ってしまったあのSSP

「おもちゃばこ」というツアー名を聞いたとき、ははーんつまり「列をはみ出すオモチャたち」のSSPがリード曲だな最高、と思ってたんだけど普通に抽選ブロック曲でした。私の「ははーん」の正答率の低さよ。よかったよある回に行けて。

そのSSPのあづくんがすごくよかったです。あぁ、そうしたんだ、と思った。素晴らしい異分子だった。「このままで踊って」の歌い方と表情、すごく解釈一致でした。あの歌詞は、あそこでは呪いですよね。

 


あづくんのパフォーマンスの好きなところはたくさんあるんだけれど、

多分いちばんは、ステージの近さ遠さに関わらず、あ、今同じ顔をしている、と思える瞬間があること。

自分が泣きそうな顔をしているとき、この人も泣きそうな顔をしているな、と思うこと。

感情が届いた気がして、すごく好きです。通信とは通じたと信じること。

 

 

 

 

京都に行く前から、特典会では横アリの話もすると決めていた。勝手な話だけど、「戻って」終わりたかった。

とはいえどう切り出してどう結ぶか迷って、結局席を立った最後に、

「横アリ楽しみにしてる。よろしく」

って言い捨てて去ってきた。

先輩のオタクってほんと厄介ですね。よろしくね。頼んだからね。

パンダドラゴンと一緒に、MeseMoa.横浜アリーナ公演を迎えられること、同じ会場にいてくれること、とても心強いね。

 

 


帰り道は、

退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都(栗木京子)

という、京都で若い時分を過ごした人間には刺さりまくる短歌を思い出しながら、緑色の缶した京都麦酒をお供に帰った。

いい1日でした。

 

 

今の私は図太い大人なので。

もう私のものではなくなってしまった街に、素知らぬ顔でまた来ることができるし、

年々早くなる時の流れに怯えながら、変わりゆくものを愛してる。

 

 

…………とかなんとか書いてたらドラマ出演(え??????)のニュースが飛び込んで来て全然しんみり終われなくなってしまった。すごいねパンダドラゴン!!!!!!

 

 

とにもかくにもさよなら京都。人生は続くので、また来ますきっと。

その前に、まずは横浜で会いましょう。